総合内科専門医による地域医療の実践に関するアンケート調査

当WGは、地域医療を現時点で次のように定義しております。

<地域医療の定義> 「限られた医療資源を共有している地域において、多様で幅広いニーズを抱える個々の患者・住民に対して包括的、継続的な診療を実践すること、および、特定の健康危険因子を共有する患者集団・住民に対して適切に介入すること」

この定義を踏まえた以下の診療実践例に関して、先生自身がどの程度実践されておられるかについてお答えください。

Q1
様々な幅広い健康問題を抱える個々の患者・住民を、その抱える全て、又は殆どの問題を一括して、継続的に外来または診療所でフォローアップする

<例> 心房細動、糖尿病、アルコール依存、うつ病がある50歳男性独居の患者を定期的にフォローアップする:病院での「専門外来」に通院されている患者さんが、他臓器や社会・生活背景に問題がありそう、かつ現在関わりを持つ医師が自分のみであった場合に、自分自身が包括的にフォローアップを行うか、包括的にフォローアップしてくれる医療機関を適切にコーディネートする
【Key word】 複数疾患、患者背景、包括的・継続的医療
Q2
複数の医療機関または専門医にかかっている患者において断片的になっている診療を、必要に応じて関係者に連絡を取りながら、全体として一つにまとめる

<例> 高脂血症はA内科クリニック、心房細動はB循環器内科医院、骨粗しょう症・変形性膝関節症はB整形外科病院、不眠症はD心療内科クリニックに通院しているADLは自立している85歳女性患者が紹介状なしで地域の中核病院の初診外来を受診した場合、それぞれの医療機関へ情報提供を依頼すると同時に医療が断片的になり過ぎないよう、必要に応じて患者教育を行う。
【Key word】病診連携・診診連携、ポリファーマシー(Poly pharmacy;多剤服用)
Q3
入院、退院、転院など、患者の診療の場や、医師の異動などを含めた責任を持つ担当医が変わる際、患者情報の申し送りを効率的、かつ確実に行う

<例> 複数の医療機関にかかっている患者が退院する場合、包括的、かつ簡潔に記載された退院時サマリーをその全ての医療機関に送付すると同時に、必要に応じて大事な申し送りについては電話等にて口頭で行う:医師の異動や病診連携などで他医療機関から逆紹介を受けた場合も、過去の情報も含めた改訂された適切なサマリーを引き継ぐ
【Key word】継続的、包括的診療要約
Q4
一般住民に対して、又は、喫煙、アルコール、高血圧等、特定の健康危険因子や慢性閉塞性肺疾患、心不全、認知症等、特定の疾患を持つ患者集団・住民に対して、地域の関係者と連携しながら、地域全体でその危険因子や疾患の負荷を減らすような介入を行う

<例> 脳卒中の発症率が多い地域において様々な医療専門職と協働し、一般住民に対して予防の重要性についての教育や高血圧、喫煙、糖尿病等のリスク因子についての介入を地域の様々な場で行う:院内でも同様に他科・他職種や他の医療機関に対して、もしくは協働して、教育的な啓発活動を行う
【Key word】予防医療、医療情報提供、教育・啓発
Q5
医療資源は有限であることを認識し、不必要な検査や治療を提供しない、同じ効果であればより費用が少ない検査や治療を行う、又は、必要に応じて関係者と連絡を取りながら、検査や治療が重ならないように調整する

<例> 健診による腫瘍マーカー高値で紹介された方に対して、手に入る信頼できる情報に基づいた腫瘍マーカーの特性と限界、保険診療上のルール、検査によるメリット・デメリット(精神的な負担やコスト、放射線被曝を含めた侵襲など)を説明のうえ、お互いの同意のもとで今後の検査方針をたてた
【Key word】過剰医療、医療の限界、医療資源
Q6
離島やへき地だけでなく、都市部を含む二次医療圏での医師不足・診療科の偏在等、地域住民、患者が医療を公平に受けることができない状況について解決策を議論し、提案し、改善の努力をする

<例> 昨年度まで、その二次医療圏内で○○科診療において中心的な存在であった医療機関で異動があり、○○科診療に支障が出る可能性を認識し、病診・病病連携について再考する:△△科を担う医師が不在の施設に赴任する際に、△△科診療を担う医師について、地域住民、患者の診療に支障が出ないように議論する。
【Key word】医師不足、医師偏在、二次医療圏
日本内科学会が作成したリーフレット『新・内科専門医制度に向けて』では、新・内科指導医の医師像のひとつとして、「地域における内科系診療ネットワークのリーダー、生涯教育の担い手」が掲げられており、「医院・クリニック、一般病院、基幹病院、大学病院をつなぎ、連携の要となる内科系診療ネットワークの中で、総合内科に関する知識・技術・判断力・人間性・経験・指導能力を高度に備えた指導医的医師。また、地域における内科系の生涯教育の中心となる指導的立場にある医師。」と説明されています。
Q7
『地域における内科系診療ネットワークのリーダー、生涯教育の担い手』として、実際に取り組んでいることがあれば、具体的に記載してください。
Q8
『地域における内科系診療ネットワークのリーダー、生涯教育の担い手』として、困難を感じていることがあれば、具体的に記載してください。
最後に、先生の簡単な背景情報についてお教えください。
Q9
年齢
Q10
性別
Q11
現在、主に診療を行っている施設の種類と規模
Q12
現在、主に診療を行っている地域の二次医療圏内に大学病院や都道府県庁所在地/政令指定都市が存在しますか?
これでアンケートは終了です。貴重なお時間をさいてご協力くださり、どうもありがとうございました。